【身体のためのほっと一息シリーズ 80】

今回は「血栓を溶かす運動」についてです。

 

脳梗塞や心筋梗塞を引き起こす、血管内の血のかたまり=「血栓」。

 

動脈硬化が起こっている血管や血液がドロドロの血管にできるものと思われがちですが、実は誰の体の中でも日常的にできています。

 

それを体は自分の力で溶かすことができるのです。

 

人に恐怖を与えて、その後の血液の状態をみるという実験が行われました。

 

その実験後のでは、30%ほど血液が固まりやすくなっていた。

 

血液を固めるのは「フィブリン」という成分です。

 

けがをして血管に傷ができた時、血を止めるために、傷口をばんそうこうのように保護して手当てをする働きがあります。 

 

大事な成分だが、驚いた時や恐怖を感じた時には、フィブリンが必要以上に作用してしまう。

 

・・・ということは、リラックスした運動をすることにより血液は固まりにくくなり、血流の流れが良くなるということです。

 

血栓を溶かすには30分の無理ない運動で効果はあります。

 

できてしまった血栓を溶かすには「t-PA」という脳梗塞の治療薬が重宝されています。

 

脳の血管に血栓が詰まってから4時間半以内に使えば、血栓を溶かし、後遺症がほとんど残らないものだが一瓶で20万円と安くはありません。

 

実はt-PAは血管の内側の血管内皮細胞で作られていて、血液の中を常に流れています。

 

体内のt-PAは1日30分の有酸素運動で活性化し、私たちの日常でできた血栓を溶かしている。

 

無理のない運動といえば、やはりウォーキングでしょう。

 

当院で開催している、講座ではよりリラックスに効果がある歩き方をお伝えしています。  普段ほとんど運動をしない9人が、自分に合った運動を3週間続けたところ、血栓を溶かす力が1.5倍〜4.2倍アップしたという報告もあります。

 

では激しい運動ではどうなのでしょうか?

 

エアロバイクを負荷を高めながら15分間こぎ、心拍数200を超えるほど体を限界まで追い込んだところ運動前より何と21倍も血栓が溶けやすくなっていた。 

 

ただ、激しい運動の効果は一時的で、血管内皮細胞にためているt-PAを放出しているだけで長続きしないそうです。

 

結局30分程度の有酸素運動を継続して行うのが最も効果的とのことが言われています。

 

運動する時間帯は問わないが、血液が固まりやすい午前中に行うのがベストだ。

 

起きてすぐでは体が脱水状態になっている場合があり、高血圧の人にとっては危険でもあるので、コップ1杯の水を飲むなどして水分をとり、1時間ほどゆっくりしてから行うと安全です。